激甘思想入門〜自分を正当化するためのトントロの日記

若い者には辛い世の中、甘くおいしくいただきましょう。

激甘百合入門〜百合ってなんだよ 『マリみて』はこんなにすごい!前編

マリアさまのこころ、それはサファイア

 

これは「マリアさまのこころ」という歌の一節です。

確かこれは聖母の賛美歌の一つだったような記憶があります。

この歌、樫の木とか出てくるのですが、樫の木ってドルイディズムじゃね?こわ……と今となっては思ってしまいます。

こころはスレた美少女小説家、トントロです。

 

みなさまも名前だけは聞いたことがあるだろう

マリア様がみてる

百合文化が花開きつつある現在は百合小説の原典とも呼ばれる立ち位置にあります。

2012年に完結を迎えましたが、1998年に1巻の初版が出てから既刊39巻。これだけのシリーズが続くということが人気の裏付けともなりましょう。(ちなみに、短編も含めると1997年にcobaltという雑誌に掲載されたものが初出だったりします。のちにこの短編は再編され、二期白薔薇姉妹の話となります)

コバルト文庫から出版されたこのシリーズは、エスの文脈に近い少女向けライトノベルとして刊行されました。

 

このお話はミッション系女子高、リリアン女学園が舞台のお話です。

福沢祐巳ちゃんという、お嬢様学校的には普通(お父さんは一級建築士。普通に考えるとぼんぼんでしょう……)の女の子が、小笠原祥子さまという財閥令嬢にして次期紅薔薇(簡単に言うと世襲制生徒会長みたいなもん)にスール……つまり擬似的姉妹関係を強要されるところから話がスタートします。

祐巳ちゃんはもともと祥子さまのファン。でも、好きでもないのに強要されるのはちょっと違う。でもでも……と言う葛藤を抱いている祐巳ちゃんをお構いなしに、祥子さまは猛烈アタックをしかける。しかけてたら情が移っていって……というのが物語の出だしです。

 

シリーズを区分すると4期間。

一期「マリアさまがみてる(一巻)」〜「いとしき歳月

……第1期薔薇さま卒業まで

二期「チェリーブロッサム」〜「真夏の一ページ

……第2期白薔薇姉妹〜2年生夏休み

三期「涼風さつさつ」〜「ハローグッバイ」

……祐巳ちゃん妹問題勃発〜お姉さま卒業

四期「リトルホラーズ」〜「フェアウェルブーケ」

……後日談+おまけ

 

こんな感じですね。結構ざっくりざくざくな感じですが。

先ほど話した祐巳ちゃんと祥子お姉さま……紅薔薇の話以外にも、耽美でエス的な白薔薇、スキャンダルに定評のある黄薔薇、その他周りの人々が描く百合模様の話が入り混じり、まさに百合小説プロットのオンパレードのような作品に仕上がっています。

……なんかこう言うと安売りみたいで嫌だな。

 

先日もうしあげたエスの文脈を生かしつつ、日常に落とし込んでいる、というのがこの作品のすごいところです。

実はエスの文脈自体は作中で主題として提起されており(3巻「いばらの森」)、それについての作中の回答もとても現代的。ヤマもなければ心中もなし。でもその当たり前な結果こそが悲劇的。そんなテイストに仕上げられるのもこの作者ならではの味だと思いますね。

そんな当たり前の、ありふれた世界における回答範囲内で愛情の甘さ、酸っぱさ、苦さを感じさせる味は当初のターゲットである女子だけでなく、男子のこころも揺さぶりました。

 

 

長くなったな、続きはまた今度。

マリみて読みたい!となったそこのあなた!今すぐ「レイニーブルー」まで大人買いするんだ!!